『男はつらいよ』の幸福論 名越 康文  精神科医らしい寅さん論

ゆるーい本。
精神科医の名越さんが男はつらいよ全48作を改めて鑑賞し直した上で書き起こした文章。
当然寅さんの恋愛論が中心になる。
恋が成就しそうになると、女性の理想像が崩れるのを恐れてか逃げる寅次郎。
そこに草食男子の元祖を見出す著者。
確かに、寅さんが日本中で見られることで、男子の未婚者を増やしたか?
その一方で寅は恋の指南、プロポーズの仕方も教えたりもするからややこしい。
自分の気持ちをぶつければ女性はそれをはねつけることは難しいと。
それがそうできないのは、気持ちをぶつける、自分を晒すことは、カッコ悪いことだから。

今の世の中、優等生ばかりでそれが出来ない男子が増えているようで。

映画批評というにはゆるく、寅さんのいくつものエピソードから、
精神科医としての目でやんわりとその心理を語っているお気楽な本。

私が寅さんシリーズで一番好きな歌子ちゃん(吉永小百合)のことをよく書いてくれるのは好感。
最初に見た寅さんだっただけに印象的なのかな。寅次郎恋やつれ。第13作。
父(宮口精二)と娘の葛藤にも触れる。”ワシントン(ナポレオン)”を飲みすぎて、
作家である父に「歌子ちゃんに謝れ!」
とすごむ寅。その場は拒否するが、結局とらやに行って歌子に謝り、褒める父。感動的だったな。
そういうはちゃめちゃな寅の言うことで人々が動く。寅は如来か。宿命を告げる人。

精神科医らしい寅さん論。楽しかった。


第1章 寅さんの恋が成就しないのは「草食男子」だから?

第2章 マドンナに学ぶアラフォー女の幸せのつかみ方

第3章 無口な「昭和のお父さん」も恋をする

第4章 時間に追われる人はたまに「寅さん」になってみよう

第5章 プロポーズするのがこわい男たち(寅さん含む)

第6章 出会っては別れ、別れては出会う時間の中で


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