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<<   作成日時 : 2010/02/22 19:53   >>

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クリス・アンダーソン著 ロングテール(アップデート版)
「売れない商品」を宝の山に変える新戦略
篠森ゆりこ訳
ハヤカワ新書 juice

クリス・アンダーソン氏の新著「フリー」を1月に読んで衝撃を受け、
これは前著も読まねばならぬと、急遽入手したのがこのロングテール。
増補版が出ていた。
期待にたがわぬ、いや、期待以上の衝撃的な著作だった。
速読の私としては珍しく、この本を読むのに5日もかかった。じっくり読んだ。

この「ロングテール」という言葉は一応数年前からかじっていて、
「本屋には限られたスペースでしか本が置けないから、どうしてもベストセラーばかり置かれ、
希少本は売れない。ところがアマゾンのようなWEB書店では書棚というものはない。画面上ではベストセラーも売れない本も同じデータ扱い。
だから、求める人さえいればわずかでもその本は売れる。そうした本が限りなく増え、ながーいしっぽになる。」
位の理解をしていた。

この本を読んで、この理解、間違いではないが、核心は突いていなかったということがわかり、愕然とした。
さらにこのことが何を意味するか、資本主義経済にとって、あるいは民主主義政治にとって、
革命的なものであることを感じた。
twitterをやっているから、先日の週刊朝日編集長出頭命令騒動を目の当たりにしているから感じたのかもしれない。

もったいぶらずにロングテールのキーワード。

生産手段の民主化、流通手段の民主化、需要と供給の一致によってロングテールが可能になった と書いてある。
その結果としての事象は私が以前から思っていた概念とそうは変わらないのだが、その背景は深い。

「生産手段の民主化」・・・要するにPCのハード、ソフトやネットワーク環境が進展して、誰もが情報発信者になることができるようになったということ。
映像、音楽、書きモノ、、、プロとアマの敷居が極めて低くなったこと。

「流通手段の民主化」・・・ここは私が以前から思っていたことに近い。陳列するための物理的なスペースは限定されコストがかかるが、バーチャルなスペースは限りなく無限、無料に近い。
しかもそのモノがデータであれば、蓄積もコストはかからず、輸送もネットワークはタダ同然。形のあるものはそこまでいかないが、3Dプリンターが普及すれば輸送もコストがかからなくなるかもといっている。

「需要と供給の一致」・・・これがわかりにくく、かつ画期的な内容。日常触れているはずなのに、その意味に気付かなかった。
Googleなどの検索エンジンによって、口コミ情報を集め、ロングテールの先っぽから自分の必要なものを見つけ、購入するのだ。
生産は音楽や映像だけでなく、口コミ情報も含まれる。
今までは評論家やら配給元の目にかなったものしか世に出なかったのが、いまや直接観た人聴いた人の声を集め、判断できる。
もっといえば、広告宣伝で企業が商品を訴えてもそれには反応せず、実際使った人の声で購入を判断する。

なるほど、である。

以前居酒屋を経営していた同期が、「今はぐるナビより食べログだ」と言っていたのはこのことだったのだ。
ぐるナビは店がぐるナビにお金を出してぐるナビのHPに店を載せてもらう、いわば広告。
食べログはスペースは食べログが用意するのだろうが、中身は一般市民の有志の書きこみ。
だからお薦め!というような批評もあれば、サービス悪いの美味しくないの汚いのと、厳しい声も載っている。
店の評価の総合点数が出るのだが、一人がいい評価をしても簡単には上がらない仕組みになっている。

これだ。
ロングテールは、この本の下手なサブタイトルのように、売れない商品を売るための手段じゃない。(なんでこんな安っぽい見出しをつけるかな。)
いままで一部の組織が握っていた情報を、消費者が直接持てるようになるための革命、情報革命だ。
音楽映画はまだ一部のマニアックな人のものだろうが、情報は本来だれでも持っている。
しかし今まではそれを発信する手段はなかった。逆に発信しても見てもらう手段もなかった。

それがいまや私ですらブログを書き、twitterでつぶやける。
数十人から多いものでは千人単位で私の文章を読む。
読む人は、友人という固定読者もいるが、それ以外の方は検索エンジンなどで関心事項から私のブログにたどり着く。
それがラグビーだったり、確定申告だったり様々だが、とにかく見知らぬ人がたどり着く。
その人はそうして集めた情報から、次の行動に出るかもしれない。
そういうことが可能になっている。
私もロングテールのしっぽの一部になりうる、なっている。
すごいことだ。

経済活動において一番えらいのは消費者であるべき。
身銭を投じるのだから。
それがいままではメディアが消費者の上に君臨し、
TV広告で、映画の配給で、店頭で、「これがおすすめ」とコントロールしてきた。
評論家なる職業が存在し、その人間のもっともらしい言葉に消費行動を左右されてきた。
それが必要なくなる可能性がでてきた。

著者が生産手段の「民主化」という言葉を使うことに最初は違和感があったのだが、意味がわかった。
まさに民主化。一部メディアが独占していたものが開放されつつあるのだ。

今はまだそのせめぎ合い。

・・と考えると、昨今の記者クラブ騒動など、その動きそのものだ。
新聞テレビは既得権益である記者クラブを後生大事にし、それを支えてくれる官僚にいい顔をし、
リーク記事を垂れ流す。
一方記者クラブを否定し、オープンな会見をする小沢幹事長はこれらマスコミにたたかれまくる。
不起訴であっても悪人扱い。
同じく開放している原口総務大臣が「クロスオーナーシップ」を訴えても新聞テレビは何ら反応しない
先日の週刊朝日編集長出頭要請も検察庁が朝日新聞に圧力をかけ、出頭要請の事実をもみ消す。

しかし、いくら新聞テレビが情報操作をしても、生産手段と流通手段をもったフリー記者の前にはかなわない。
twitterでフォローするという、いわば需要と供給の一致のしかけがあれば、欲しい情報はどんどん入ってくる。
テレビをつけっぱなしにし、新聞を定期購読していては絶対得られない情報が手に入るのだ。

・・・私はこれは社会的ムーブメントになりうると思う。
いまはまだネットを使いこなせる人は多数派ではないかもしれない。
特に世の中を仕切ってる?50代以上はだめだろう。
しかしあと10年、今の30-40代が中心となる世の中が来れば、社会は変わるかもしれない。

本にも書いてあったが、その昔は口コミだけだった。それが広告にとってかわられたが、今再び、ネットという技術を使って、
広い範囲で口コミに戻りつつある。

ということは、ギリシャアテネのその昔のように、政治も直接民主主義の時代に戻る可能性があるのではないだろうか。
そう、消費者がお金を投じるというのは、一票を投じることと同じ。その人の意思表示。

昨日の長崎県知事選で民主が負けたことを「政治と金」が響いた、と書きたてる産経読売。
またそれに合わせてしまうお人よし鳩山首相。
有権者が判断した理由がそうだったかどうか、誰も検証していないのに。憶測で記事を書く新聞と認めてしまう首相に憤りを覚える。
その記事に勢いづいて予算委員会をボイコットする自民党。
もうめちゃくちゃ。

そんなことを許さない、国民が正しい情報を入手できる時代がもうすぐそこまで来ていることを、この本は示している。
どうやら自分らは最先端とはいかないまでも、新し物好き?で、前のほうにいるらしい。(これも誘導されているか常に気をつけなくてはいけないと思うが)
であれば、その役目をこれからも果たしていこう。
発信することは社会に対する義務と心得よう。

そうそう。集まった情報をどう判断するか。そこに問題解決力が求められる。
広く情報を集め、整理し、要約する。
その力も広めたい。

やるべきことは多い。




***
15700歩、しっかり60分7000歩。二重橋前ビル29と昼の芝公園走り!昨日走れなかったので3キロ走りました。
68キロに戻しました。

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